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2016年8月10日 (水)

銭湯

「銭湯」と言えば最近の人は「スーパー銭湯」をすぐ思い浮かべるでしょう。そんなものがなかった

30年前は「銭湯」は一種の社交場でした。学生で風呂付の下宿等皆無の時代、色んな銭湯に

友達と行ったものです。私の下宿は神戸でもあまり柄のよろしくない地域にあり、銭湯では怖い

おじさん、おにいさんによく遭遇したものです。

ある日のこと、銭湯ではいつも一番上のロッカーを使っていた私は、その日はいつもより勢いよく

ロッカーを開けてしまいました。すると「カーン」とヒット性の金属音が脱衣場にこだましました。

他人の頭をロッカーでどついてしまったのです。「やっべー、こりゃすぐ謝らないと」とロッカーを

閉めようとした私の目に飛び込んだのは見るも鮮やかな昇り龍。そう、私がどついたのは、

いわゆる、「や」の付く自由人さんだったのです。「綺麗な龍ですねー。辰年の方ですか?私も

辰年なんですよ」と言う余裕などありません。体中から血の気が引き、人生の終焉すら悟った

私は考えました。(さぁどうする、考えろ)。自由人、こっちをじっと見てます。追い込まれた私に

以下の選択肢が浮かびました。

 

①頭を下げまくってお詫びする(俗に「壊れた水飲み鳥」と言います)。

②生まれたままの姿で逃げる(野球用語で「振り逃げ」と言います)。

③とぼけてそのまま風呂に入る(「既読スルー」と言います)。

何の迷いもなく①を選択し、半泣きの状態でお詫びを続ける憐れな子羊に自由人がドスの利いた

低い声で一言、「あ~、兄ちゃん、もうええわ。今度から気ぃつけや」。神様ブラボー、生きてて

良かった!私の頭の中でベートーベンの「第九」の演奏が始まります。(あー良かった。自由人

さん、許してくれて有難うございます)。私の人生で最も長い1分間が終わりました。 その瞬間、

後光が差して、昇り龍が観音様に見えました。

私にとって不幸中の幸いは相手が懐の深い年配の方だった事。血気盛んな若いおにいさん

だったら、「お前、何してんねん!」で始まり、フルボッコにされてたかもです。この日以来、銭湯の

ロッカーは一番下の段を使い、ゆっくり開ける事にしたのは言うまでもありません。

 

そこで一句、「すんまへん 事故なんですわ と言い張れば 薄い眉毛で 我を許す君」。

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